前回は「始めようペーパーレス化!メリットと進め方の3ステップ!」について、
記載しましたが、今回は私の会社で現在進行形で行っている4つのペーパーレス化の
方策4選を紹介します。
会社で行う様々な業務のペーパーレス化を進めていますので、ぜひ参考にして下さい!
実例① 会議で使用する紙の廃止
実例①として記載していますが、実はこれ「会議のために印刷している紙をなくそう!」として
行なったペーパーレス化ではありません。
元々は会議前に紙を印刷して、出席者に配っていましたが、それとは関係のないところで
・画面の大きいPCから、出張に持って行きやすい軽量小型で大容量バッテリーのPCに
替える人が増える
↓
・そのPCを事務所の会議にも持ち込むようになる。
↓
・「PC1台で過去の会議資料が全て見られて、紙より便利だよね!」と言う考えが広がり、
出張に行かない人も、軽量小型で大容量バッテリーのPCに替える人が増える。
↓
・誰も印刷した紙を見なくなる。
↓
・ペーパーレス化成功!
の流れで「いつの間にか会議資料の印刷が不要になった」と言う、我が社の実例です。
実際に「会議資料の印刷は不要」となるまでには、3年間程かかりましたが、
トップダウンで強引に進めた訳ではないため、変革を行う時に必ず出る
「抵抗する人達」も出ませんでした。
棚ぼたで、いつの間にか成功していたペーパーレス化ではありますが、環境を整える事で、
自然と広がっていった活動であり、今振り返るとペーパーレス化の好例であったと
考えています。
実例② ノーコードツールによる申請書、回覧書類の電子化
実例の2つ目は、「ノーコードツールによる申請書、回覧書類の電子化」です。
私が所属する会社はとにかく申請書が多く、スタンプラリーも長いです。
一番多いもので、1つの申請書に20個ほどのハンコが必要となり、
途中で差戻しされたりすると、回覧に2〜3ヶ月かかる書類もあります。
紙の書類の回覧は非常に時間がかかります。まず出社しないと内容を確認する事ができず、
承認したとしても、次の人へ渡さない限り回覧が進みません。ハンコは押したのに、
次の人に渡すのを忘れて、回覧が数日止まっていた!なんて事も日常茶飯事です。
更に、承認に時間がかかる書類はどこまで進んだかを、各所に聞いて回るという
とても無駄な作業もする事になります。
また、あまりにもスタンプラリーが長いため、たまに申請書自体が紛失する事がありました。
犯人が分かっても結局、申請書が戻ってくる事は無いため、泣く泣く印刷し直して、
また一からスタンプラリーを始めると言う事をしていました。
この非効率な「紙の申請書」を、効率化するための方策の一つが
「ノーコードツールによる申請書の電子化」です。
※本当の意味での効率化を求めるのであれば、「申請書自体を無くす事」が最も効果的ですが、
私が所属する会社では「無くすのは不安だから」と言う理由で、
まだ「申請書自体を無くす事」までは辿り着けていません。
「ノーコードツール」とは、プログラミング知識が無いの人でも簡単にシステム開発ができる
ツールです。これまでは、システム構築には必ず必要だった専門スキルを持ったエンジニアや
プログラマーがいなくても、数時間の研修で誰でもシステム開発ができるようになります。
私も実際に8hrの研修を受けて、申請書をいくつかノーコードツールで電子化しました。
この「ワークフローツール」を用いて、紙の申請書をPCの画面上で再現します。
担当者はそこにデータを入力して、完了ボタンを押すだけで、後は人の代わりにシステムが
自動で承認者に回覧をしてくれます。
承認者もメールで受取、内容を確認し、承認ボタンをクリックするだけです。
全ての承認が終わったら、関係者に通知が届き、データが自動保存されます。
「ワークフローツール」を導入する事で、手間がかかっていた申請書の
「印刷」、「回覧」、「保管」作業から解放されます。
上記の説明を聞いて、「え?効果それだけなの?」と言いたくなるかもしれませんが、
労働人口がガンガン減っている日本で、業務としての価値が低い「印刷」、「回覧」、「保管」の
作業を、人にさせている余裕はありませんし、これから更に余裕は無くなって行きます。
よって、価値を生まない仕事から人が解放されるという効果は非常に大きいと言えます。
価値を生まない仕事は全て、PCやロボットに任せて行きましょう!
また一方で、上記のメリットであれば、紙の申請書をPDF化して、
メールで送りあっても同じ事が再現できるでは?と言う意見があるかもしれません。
この意見に対しては「部分的にはYes」です。紙の申請書をPDFファイルにして
メール送信し合ってもワークフローツールと同じことは再現できます。
確かに「印刷」は不要となりますが、「回覧」と「保管」は人の手で行わなければ
ならないので、効果は弱いと言えます。
尚、「保管」を人の手で行っている限り、「保管漏れ」のリスクは常に付きまといます。
他のメリットとしては、申請も承認もPC上で行えるので、テレワークでも仕事ができるように
なります。また紙と違って電子データはそうそう紛失することはありません。
もちろんデータを、自分のPCのローカルディスクやUSBメモリに入れていた場合は、
PCの故障やUSBメモリの紛失でデータを失うこともありますが、バックアップを取っている
会社のサーバーやクラウド上にデータがある場合は、基本的にデータが消えることはありません。
電子化していれば、そのデータを削除できる権限を管理者のみにする事で、
そもそも「担当者は削除する事ができない」と言う設定にする事も簡単です。
これにより「確実な回覧と確実なデータ保管」が可能となります。
これまで人任せで、穴だらけだったデータの保管が自動化され、残すべき会社の情報が
きちんと保管される事となり、企業活動の大切な財産になっていきます。
実例③ ペーパーレスFAXの導入
実例の3つ目は「ペーパーレスFAXの導入」です。こちらは前回の記事の中では、
紹介していませんでしたが、我が社で進めているペーパーレス化の手段の一つです。
社内の書類のペーパーレス化に限れば、例え「印刷した紙にハンコを押すこと」
と社内のルールで決まっていたとしても、社内のルールさえ変えてしまえば、
全て電子化する事は可能です。
一方で、社外とやり取りしている書類が紙の場合は、自社の希望だけで電子化することは
できません。その最たるものがFAXであると私は考えています。私の会社で取引している
多くの中小企業は、見積り依頼や納期の確認、そして発注書をFAXで送ってきます。
その中でも手書きの書類をFAXで送ってくる取引先の場合、その担当者が
PCを普段から使っていないケースが多く、FAXからの脱却は不可能に近いと言えます。
そこで、取引先側は紙のFAXのまま変えず、自社側だけFAXの電子化
(この記事内では半電子化と呼びます)が実現できるのがペーパーレスFAXです。
ツールの代表例として、
・富士フィルムビジネスイノベーションのDocuworks(ドキュワークス)
・リコーのRidoc(リドック)
・キャノンのimageWARE(イメージウエア)
の3つがあります。
私が所属する会社では富士ゼロックスの複合機が多数あるため「Docuworks」が選ばれましたが、
複合機メーカーがそれぞれツールを販売していますので、導入する際は、自社の複合機の
メーカーをまずは確認しましょう。細かな機能は違いますが、大体は同じことができます。
ここからは私が働く会社で利用されているDocuworksで紹介させて頂きます。
DocuworksはPC上に再現した電子の机で、紙と同じような感覚でデータを操作できるツールです。
変化すること自体がユーザーにとってのハードルとなりますが、「Docuworks」は紙と
同じような感覚で操作できるツールであり、使い始め易いと言う点で大きなメリットがあります。
費用は大体1ライセンス、1万数千円です。初期費用はかかりますが、買い切り型なので、
使えば使う程、お得になります。
私の会社で使っているDocuworksの主な機能は以下3つです。
・FAXの電子化(ペーパーレスFAX)
FAXが届いたら、印刷されるのではなく、PC上のトレイに届く、
FAXを送る場合も登録済みの送信先リストから選んでクリックするだけ
(複合機とデスクを往復する必要がない!場所を選ばずFAXを受信、送信できる!)
・届いたFAXを編集
PC上のトレイに届いたFAXデータをDocuworksファイルに変換する事で、
PC上で、紙と同じようにクリップでまとめたり、付箋をつけたり、
ハンコを押したりできます。自分の編集が終わったら、
ファイルを上司のトレイにドラッグ&ドロップするだけで、回覧する事ができます。
・保管と検索
承認や送信が完了したデータもDocuworksのファイルとして保管されます。
もちろんデータで保管されるので物理的な場所を取りません。
また離れた事務所の書類データであってもネットワークが繋がっていれば、
そこの担当者に依頼すること無く、自分でデータを取り出すことも可能です。
また必要なデータを探す際は、ファイル名だけでなく、取り付けた付箋や、
ファイルに書き込まれた文字でも検索する事ができ、
データを探す効率が格段に上がります。
次は、PDFとDocuworksの違いについて説明します。
なぜPDFとDocuworksの違いについて話をするかと言うと、私が初めてDocuworksを
知った時に、「DocuwoksってPDFと大体同じかな?」と言う感想を抱いたからです。
DocuwrksもPDFも元々、紙をスキャナーで取り込んだファイルが基本であり、
DocuwrksもPDFもどちらのツールでも、ファイルを結合したり、分割したり、
文字を書いたりといった事ができるからです。
(ExcelやWordファイルを直接、DocuworksファイルやPDFファイルにする事も
可能ですが、ここでは一旦置いといて)
もちろんDocuworksには、FAXを印刷せずに直接Docuworksファイルとして取り込めたり、
トレイで簡単にデータの受け渡しができたりと言ったメリットはありますが、
私がDocuworksを使って感じた一番のメリットはズバり操作性です!
メーカーの謳い文句の通りDocuworksuは「紙と同じような感覚でデータを操作できる」と
感じました。(慣れれば作業がどんどん早くなる!)
一方のPDFは「紙の書類をそのままPC上で表示する」と言うコンセプトで開発が始まった
経緯があるため、表示と保存はできますが、はっきり言って結合や分割、文字入力といった
編集の操作性は低いです。(慣れても作業はそれほど早くならない)
よって取引先からのFAXに何かを書き込んだり、他の書類を添付して、相手にFAXし返す場合は、
圧倒的にDocuworksが勝っていると思います。
またペーパーレスFAXの導入により、離れた事務所のFAXも受け取れて処理する事ができると
言う点でのメリットも大きいです。複合機がある会社に出社しなくても、仕事が可能になりますし、
忙しい部署と暇な部署で仕事をシェアする事も可能になります。
これにより余分に人を雇っておく必要がなくなります。
FAXの業務に携わる従業員が全員同じ事務所内にいて、席も近ければ仕事のシェアは簡単に
できますが、フロアが違ったり、事務所が離れると途端に、仕事のシェアは難しくなります。
FAX番号を統一して、共有のトレイにFAXが入ってくれば、
たとえ事務所が離れていても共同で仕事を行うことができます。
ペーパーレスFAXの導入とFAX番号の統一化が進めば、部署や個人に仕事が偏らず、
休みが取りやすくなったり、忙しい部署をフォローして全体の残業を減らすことも可能になります。
以上、相手のFAXがあって完全な書類の電子化ができない場合は、
Docuworksによる半電子化をオススメします!
実例④ 経費精算の効率化
最後の紹介するのは「経費精算の効率化」です。
私の会社ではこれまで、経費生産を行う場合は、PC上で必要な項目を入力して印刷し、
領収書を糊付けして、ハンコを押して回覧すると言う手順を踏んでいましたが、
昨年から遂に、ペーパーレスで経費生産が行えるようになりました。
(こちらは私が推進したDXの活動ではありませんが、便利なので紹介します)
ペーパーレスの経費精算の手順は下の通りです。
領収書をスマホで撮影、文字認識してくれるので、誤字の修正と足りない箇所だけ入力して、
完了を押すだけ!写真データを添付しているので、領収書の原本も提出不要です。
印刷が不要となったため、テレワーク中でも申請ができるようになりました。
私の会社で導入された新しい経費精算システムはクラウドサービスで、
費用は1人、1ヶ月当たり1,000円程で、ランニングコストがかかりますが、
効率化により、経費生産を1月当たり数件申請するだけでも元が取れているようです。
(ユーザー側の効率化は把握していますが、経理部側が具体的にどこまで
効率化できているのかは把握できていません。)
まとめ
最後にまとめです。今回紹介した4つの事例は、本当に私が所属する会社で、現在進めているものに
なります。4の経費精算以外は、スモールスタートで部署を選んで徐々に活動を広げているので、
効果はゆっくりと出始めている状況です。
私が上記4つのペーパーレス化を実際に体験した感想は、
「見易さと言う点では、確かに紙が優れているが、
それ以外は全てペーパーレス化した方が断然勝っている!」です。
紙を扱う際に必要な「印刷、回覧、保管」作業から解放され、
「検索」も自分のPCからいつでも行えると言うメリットは非常に大きいです。
皆さんにもペーパーレス化のメリットを感じて頂きたく、この記事を参考にして、
ぜひチャレンジして下さい!
余談
ちなみに前回の記事では、「紙を無くすだけではなく、その先のDXまで繋げていきましょう!」
と記載もしましたが、まだ私の会社のペーパーレス化では、「その先のDX」までは進められて
いません。「その先のDX」まで含めたペーパーレス化については、別途検討をしているので、
お話しできるところまで進んだら、またこのブログで紹介いたします!
以上
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